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『せっかくのジュエリーなんだから面白くなくっちゃ・・・!』


いよいよ残すところ今年もあと2日となりました、2011年は私にとりまして様々なことを感じ、今までの流れを一度考え直す機会の多かった年でしたが皆様はいかがでしたでしょうか・・・
さて今年最後となる店長日記は、6月よりご相談を承りはじめ、つい先日お納めさせていただきましたお客様のジュエリーリフォームのお話をご紹介させていただきます
私も社会人としてジュエリー業界に入って働き始め早28年が経ち、ある意味それなりのキャリアと自信を少しは積み重ねたかなぁ・・・という自負心がここ数年密かにありました
思い起こせばちょうど30年ぐらい前になりましょうか、私の成人のお祝いということで初めて父親と男同士二人の京都一泊旅行へ連れて行ってもらったことがあります
この旅の目的はただ一つ京都伏見稲荷大社の参拝でした
これは昭和43年に開業しました以前の旧スカイビル商店会を代表して数人の理事の方々とご一緒に父も毎年伏見稲荷大社へお札を交換に行っていた折に、自店のお札もその都度交換していたことで必然的にその後プライベートでも必ず毎年一度は京都へお札をいただきに行くことが父の毎年の恒例行事となっておりました
その年はちょうど私の成人の記念だったからでしょう、私も新調してもらった初めてのスーツ姿で一緒に出かけ、父も初めてだった京都で有名な老舗旅館に宿泊をさせていただきました
その旅館に宿泊した際に結構なお歳の仲居さんが私たちの部屋担当でついていただいたのですが、父が何を言ったのかは忘れてしまいましたが、その仲居さんが 『京都では数百年続くお店がや会社がぎょうさんありますので、私なんかまだまだ修行の身どす・・・(正確に覚えていませんが、こんな意味のことを仰りました)』 というシーンがなぜか今でも凄く記憶に残っております
今回ご紹介させていただきますお客様のリフォームの過程で、この30年前のワンシーンが突如脳裏に浮かんでまいりました
・・・というのは、今回ご紹介させていただくお客様は3年前に奥様を残念ながら亡くされ、娘さんやお孫さんとご一緒に奥様がご生前に愛用されていたジュエリーをリフォームするとどんなことが出来るのかを相談しに初めて当店へお越しいただきました
持ち込まれたジュエリーは、大粒のダイヤモンドが5石入ったV字タイプの指輪と、大きなエメラルドのダイヤ取り巻き指輪の二つでした

《左:事前撮影を忘れてしまったのでお持込みのV字リングに似た指輪のイメージ写真 右:実際にお持込みの奥さま形見のエメラルドのダイヤ取り巻きリング》
まずはお話をお伺いしたところ、お母様がご愛用だったジュエリーを父に着けてもらえるようにという娘さんのご希望で、メンズ雑誌などを参考にされお父様が着けてくれそうなジュエリーに生まれ変わらせたいと色々なアイデアをお聞かせいただきました
初めてご来店されてから数度の打ち合わせを経て、こちらからいくつかのリフォーム提案のスケッチを出させていただきましたが、娘さんより下記のような具体的なスケッチが添付メールで送られてきて、こんなイメージを考えましたがどうでしょうか・・・とご相談承りました

《娘さんから頂いた、大まかなリフォームイメージのイラスト》
正直に言えば、常日頃はお客様のご希望やご要望を真剣にお聞きしつつも、事前に出来上がりが確認できないリフォームは、最終的にはプロフェッショナルである私どもが責任をもってご予算や着け心地なども含めたお勧めのジュエリー製作へ導くことが多いのですが、今回はスケッチまでお書きいただいたこともあり、まずは娘さんが一生懸命考えられた希望イメージを尊重してデザイン画に落とし込みをさせていただきました

《当店にて書き起こし直した実寸サイズでのデザイン画》
まずは最初にメンズリングから手をつけ始め、お母様がいつも身近に見守っていてくださると信じ、たくさん数があるメレダイヤモンドと、エメラルドリングの取り巻きテーパードダイヤモンドを星空に見立ててふせ込み留めで散りばめた16ミリ幅リングにリフォームするアイデアです
メンズリングで16ミリ幅、なお且つ星空のようなダイヤモンドの数・・・出来上がった姿が私たちはすぐにピンときますが、果たしてお客様が費用も勿論のこと、出来上がってから本当にお着けになられるのに支障はないだろうかとちょっと心配にもなりました
今回のケースは時間的に十分にご配慮をいただけたため、職人と相談し慎重にまずはシルバー素材にておおよその形状の実物モデルをお作りすることにいたしました

《シルバーにて製作したリングの実際寸法に近いモデル》
実物モデルが出来上がったところで、再度ご来店をお願いしお父様に実際に指に着けた時の違和感などを確認していただき、デザイン画通りに作った場合に出来るだけイメージが近い当店の他のジュエリーを参考にご覧いただいて、私からも『結構ギラギラとダイヤモンドの輝きが目立つリングになりますよ!』と強調しながら恐る恐るご説明を申し上げました
お父様はしばし考えられてから 『せっかく作るんだから、面白くなくっちゃつまんないじゃん!』  と仰っていただいたので、ある程度イメージもつかんでいただけたと信じ、このコンセプトでのリフォーム製作をスタートさせていただきました
ポイントはリング幅が一般的なものより大幅に広いため、遊びっぽく安っぽくならないように注意をし、
技術的には両縁のピンクゴールドの上品なアクセント部分と、中央のダイヤモ ンドが入るプラチナマット仕上げ部分の境目の仕上げや、石留めが困難になる内ぞりフォルムのカーブなどを特に気を配り、素敵な大人のメンズリングを演出出来るように工夫いたしました
さる11月15日にご家族全員でお越しになられ、まずは完成しました『天空の星』リングを皆さんで確認していただき、早速にお父様も「わぁ凄い!・・・」と仰りながら指に着けお持ち帰りになられました

《18金ピンクゴールドとプラチナ900のコンビネーションで製作した“天空の星”リング》
次にリングでは使わなかった大きなエメラルドをはじめ、残っている大小様々なカットのダイヤモンドすべてを使って、これまた娘さんにラフスケッチをお書きいただきましたデザインで、メンズペンダントの製作にとりかかりました

《エメラルドの深さ(厚み)を計算しギリギリの厚みでドラム状のペンダントヘッドを製作、1粒残ってしまったV字リングの大粒丸ダイヤモンドは、娘さんのアイデアでネックレス途中にワンポイントをプラチナ一色でアレンジ》
このクリスマス後に再びご家族全員でご来店をいただき、出来上がったばかりのエメラルドペンダントをお披露目しました
お父様も『ウォ~』といいながら早速に試着され、『これはいいわ~、実は男がエメラルドなんてどうやって着けるのよ!と思っていたんだけど、これなら着けられる・・・』とお喜びいただき、ちょうどお召しになられていた黒一色のセーターの胸元でひと際素敵に輝いておりました
業界歴28年、今回のリフォームのお手伝いでまた一つ自分に足りないところを学びました
お客様が発した 『せっかく作るんだから、面白くなくっちゃ!』 のお言葉に勇気をいただき、更にひとつ今までとはまた違った視点からのジュエリーの魅力に気づかされました
皆様に喜んでいただけるお仕事を少しでも極めて、ジュエリーのプロとして出来る限りの高みに向かっていきたいと心から願って新しい年を迎えます 


《ペンダント裏面も3案のデザインをご提案し、お車のホイールイメージのデザインで製作しました》
いつの日か当店にて製作させていただきましたこの二つのジュエリーが、今回ベビーカーに 乗って来店されたお孫さんにデザインを考えられた娘さん(お母さん)から,おばあちゃんの想い出と共に引き継がれ語られることになることをジュエリーショップYAMATOは願っております・・・ 

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