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サチコ文庫と筍ご飯・・・


一年中元旦以外の364日間を毎日毎日営業していますと、同じような日々をおくっているようでありながら、実際にはお越しいただきますお客様とのやり取りの中で様々な話題が持ち込まれ、日々刻々と微妙に進歩といいますか、いままで以上により深く違った視点での物事を考える習慣が自然とついてくるような気がします
時には楽しいお話が、また時には悲しいお話、そして事実は小説より奇なり…の皆様の人生における思いがけないお話など、本当に一日一日私どもスタッフも沢山のお客様からの知恵や思考を楽しく悲しく学ばせていただいております
そのため当店はどちらかというと専門であるはずのジュエリーに関するお話よりも、興にのった無駄話の方が長くなる傾向が強く、お客様にもご迷惑をおかけしているのではと少々反省することが度々あります 
そんな中でここ一年半ぐらい前から、亡くなられたお母上様から譲られたジュエリーを順々にリフォームをされる為に定期的に東京からお越しいただく一人のお客様がいらっしゃいます
私共スタッフよりは世代が上ということで、勿論私どもより人生経験も豊富でいらっしゃいますので、色々と多岐にわたる日々の出来事の解説を拝聴するため、このところ私たちもご来店を心待ちにしております
そんなやり取りの始まったきっかけは、ご来店のある日に歌舞伎のお話から宮尾登美子さんの小説のお話になり、昨年末お正月にでも是非お読みになられたらとその時に話題に上がった小説と共に数冊のおススメの本を拝借したことでした
それ以来読後の感想をご報告しつつ、では今度はこれお読みになられたことごさいますか…と控えめな物腰で次々と私が存じ上げない書物をご推奨いただき、前回分と交換しながら新しい本をお借りするうちに、世代が違う者同士がお互いの読後感を比較しながらお伝えしあう流れとなり、こちらも仕事を忘れジュエリーのご相談よりも読後感のやりとりの方がご来店のメインとなるぐらい楽しいお話しのひと時が続いております
体育会系の私もどちらかと言えば学生時代から人並みには読書をしてきたつもりですが、やはり自分が選ぶ書物は自ずと好みが偏るようで、このお客様から勧められた宮尾登美子さん、高峰秀子さんなどの作品は、恐らくこういう機会がなければ間違いなく自分の一生の中で出会うことが無かった書物と感謝しております
いまではお客様のお名前から失礼ながら勝手に『サチコ文庫』と呼ばさせていただき、このところは『優駿』しか知らなかった宮本輝さんの『流転の海』に始まる三巻を順次拝借し、そのとてつもないインパクトに一気に引き込まれております

 
この連作の四巻目以降は只今サチコ様ご自身が数十年振りに再度読み直しをされていらっしゃるため、次回のご来店を待ち焦がれる毎日です
日本国中の人々が先月の大きな震災から一日でも早く復興することを祈り、皆さんそれぞれの立場で必死に前進をしていかねばならない状況だからこそ、この『流転の海』に描かれる太平洋戦争に翻弄され、戦後の大変な混乱期の中での登場人物の様々な生き方がとてもリアルに感じてしまいました
私どもYAMATOはブライダルジュエリーのご購入をお手伝いさせていただく関係で、半分以上のお客様が私どもよりお若い20~30代の方々ですので、僭越ながら年長のお客様方の長い人生の中で感じられた英知を私どもも学ばせていただきながら、これから長い人生を歩み始める若いお客様へ少しでも当店がジュエリーと共にお伝えすることができれば、当店も社会的になにかしらの貢献ができる店になりえるのではないか…と常日頃考えております
先週学生時代の友人が横浜へ出てきたついでに当店へ立ち寄り、数年振りに夕食を伴にいたしました 

あれほど鮮やかだった満開の桜も散り、出てきた筍ご飯をいただきながら日々刻々と時が流れていることを、目の前の友人の30数年前の顔を思い浮かべながら感じた一時でした
花粉症もそろそろ治まり始め、平成23年の夏がやってきます・・・

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